MacやiPhoneを使って、アップデートを行っているといつの間にか登場しているiCloud フォトライブラリやiCloudドライブ。以前からあったフォトストリームなどとは一体何が違うのかがわからなくなり、どうしたらよいのかわからなくなることが多い。これらのものはここ最近登場したというわけではないが改めて紹介する。
ここでは、iCloudサービスに含まれる、iCloudバックアップ、iCloudドライブ、iCloudフォトライブラリ、iCloudミュージックライブラリやApple MusicとiTunes Matchなど、混乱してしまいがちなサービスについて調べてみて、わかったことを簡単にまとめて紹介しようと思う。
もくじ
iCloudサービス全体
iCloudを使用するサービスで混乱してしまいそうになるもので上記の様なサービスがある。iCloudのサービスだからといって全てのサービスがiCloudのストレージを使用するわけではないようだ。
全てのiCloudサービスに共通するものとして、同じApple IDでログインしたデバイスであれば全てのデバイス上で上記の全てのサービスにアクセスできるということがある。
そして分けるとすれば大きく分けて以下の3つに別れている。
1. iCloudストレージを使用するもの
- iCloud バックアップ
- iCloud ドライブ
- iCloud フォトライブラリ
2. iCloudミュージックライブラリを使用するもの
- Apple Music
- iTunes Match
3. フォトストリームを使用するもの
- マイフォトストリーム
(フォトストリームに関しては書く必要はなかったがわかりやすいのであえて別けて考える。)
iCloud ストレージ
iCloudにサインアップするだけで、無料で5GB分のストレージを利用できる。使用していくと場合によっては5GBでは足りないと感じることがある。
そういった時のためにiCloudはストレージを追加購入できる仕組みになっている。
iCloudストレージの価格
容量 | 価格(月額) |
5 GB | 無料 |
50 GB | 130円 |
200 GB | 400円 |
1 TB | 1,300円 |
追加購入方法
iCloudストレージを追加購入するには以下の手順で行う。
- iOS (設定>iCloud>容量>さらに容量を購入)
- Mac (システム環境設定>iCloud>管理>さらに容量を購入)
- Windows (iCloud>保存容量>さらに容量を購入)
iCloud バックアップ
iCloudバックアップは、自動的にまたは手動でデバイスのもっとも重要なデータをバックアップすることが出来る。バックアップしたデータは全てiCloudストレージ内に保管される。
自動でiCloudバックアップを有効に
- iOS (設定>iCloud>バックアップ>iCloudバックアップを有効)
手動で今すぐバックアップ
- iOS (設定>iCloud>バックアップ>今すぐバックアップを作成)
iCloudでの具体的なバックアップ方法は以下のリンクを参考に。
iTunesでのバックアップとの違い
iCloud(ストレージ) | iTunes | |
保存場所 | クラウド上(iCloud) | Windows/Mac上 |
最大容量 | 5GB/50GB/200GB/1TB | PCの空き容量による |
暗号化 | 常に暗号化 | 暗号化するどうかを選択 |
環境 | Wi-Fiがあればどこでも | Windows/Mac上 |
iCloudはデバイス上の多くのデータをバックアップできるが、一部含まれないものが存在する。
iCloudバックアップの対象外となるもの:
- クラウドにすでに保存されているデータ (連絡先、カレンダー、メモ、マイフォトストリーム、iCloud フォトライブラリなど)
- ほかのクラウドサービス (Gmail、Exchange メールなど) で保管されているデータ
- Apple Pay の情報と設定内容
- Touch ID の設定内容
- iTunes Store、App Store、または iBooks Store から直接入手したものではないコンテンツ
- iTunes in the Cloud および App Store のコンテンツ
iCloudは重要なデータだけバックアップし、iCloudはより完全なバックアップをするので、より完全なバックアップをするにはiCloudよりもiTunesの方が向いている。
iCloud Drive
iCloudドライブはDropboxやGoogle Drive、OneDriveと同じで、すべてのドキュメントを 1個所に保存し、どのデバイスからでもアクセスできる。ファイルおよびフォルダをすべてのデバイスで最新の状態に保ち、新しいファイルおよびフォルダを iCloud 対応のアプリケーションから作成することができる。
複数のアプリケーションから同じファイルを編集することもできる。またiOS 9 では iCloud Drive App からいつでもファイルを入手できる。
このように、いわゆるオンラインストレージのようにして利用できるが、iCloudストレージを使用するためiCloudバックアップデータの量が多い場合はその分利用できるスペースが少なくなる。
iCloud ドライブを有効にするには:
- iOS(設定> iCloud>iCloud Drive)
- Mac(システム環境設定 > iCloud > iCloud drive)
- Windows(iCloud>写真)
iCloud ドライブにアクセスするには:
- iOS(設定> iCloud>iCloud Drive>ホーム画面に表示を有効にし、ホーム画面上のiCloud Driveアイコンから)
- Macの場合はYosemite以降であればFinderからアクセスできる。またはiCloud.comで直接アクセスすることも出来る。
- Windowsの場合でもWindows 7以降の場合、iCloudフォルダーやiCloud.comで直接アクセスすることが出来る。
現段階のiCloud DriveはDropboxやGoogle Drive、OneDriveほど利便性がなく、例えば写真アプリからiCloud Driveに送ることはできない。
iCloud フォトライブラリ
iCloudフォトライブラリは全てのデバイスですべての写真やビデオにアクセスできるようにするサービス。有効にしているデバイス同士はすべての写真やビデオが、すべてのデバイスに同期される。iCloudフォトライブラリは有効/無効に切り替えることが出来る。
有効にするには:
- iOS(設定>写真とカメラ>iCloudフォトライブラリ)
- Mac(写真>環境設定>iCloud>iCloudフォトライブラリ)
- Windows(iCloud>写真>iCloudフォトライブラリ))
アクセスするには:
- iOS(写真)
- Mac(写真、またはiCloud.com)
- Windows(iCloudフォト、またはiCloud.com)
Windowsで有効にする場合はあらかじめAppleからiCloudをダウンロードしてインストールしておく必要がある。
有効にすると「すべての写真」アルバムが追加される
フォトライブラリを有効にすると、カメラロールやマイフォトストリームが非表示になり、代わりにまとめて「すべての写真」というアルバムに統一される。
フォトライブラリを無効にすると再びカメラロールやマイフォトストリームのアルバムに戻るようになっている。
削除も編集も全て同期
有効にした場合、例えばiPhoneで新しい写真を撮り削除を行うと、MacやiPadなどの他のデバイスでiCloudフォトライブラリを有効にしているデバイスでも同じように自動的に削除される。
これらの同期は同じApple IDでiCloudにログインされており、Wi-Fiまたはイーサネット接続に接続されている場合に限る。
iPhoneで撮った写真をPCやその他から見るには便利
iPhoneで撮影した写真をMacやWindowsなどに送信して、PC上から編集を行いたい場合にはわざわざ手動で送信する必要が無いので、すばやく編集することができる。
バックアップには不向き
バックアップ目的で使用できるものではないので、他のデバイスでも写真やビデオの管理をしている場合は、オフにしておくとよいだろう。バックアップを目的とするのであれば、iCloud Driveに手動で保存するかiCloud バックアップのどちらかが良いだろう。
マイフォトストリームとの違い
同じ写真に関するサービスで以前からあったマイフォトストリームというものがある。これはフォトライブラリと違い、最近撮影した写真だけがiCloudにアップロードされる。
マイフォトストリームの具体的な説明は本ページ最下部のマイフォトストリームの項目を参考にしていただきたい。
iCloudミュージックライブラリ
iCloudミュージックライブラリでは、すべての音楽が、すべてのデバイスに同期される。例えばiPhoneで音楽を追加、お気に入りやプレイリストの登録、削除などを行うと、MacやiPadなど他に同期されているデバイスから見ても同じように変更が同期される。
また、Appleのカタログにないものがあれば、ミュージックライブラリ全体をアップロードできるスペースとして利用できる。
登録が必要
iCloudミュージックライブラリはApple Musicのメンバーシップになるか、iTunes Matchに登録している場合に使えるようになる。
執筆現在での最大アップロード可能曲数は25,000曲となっている。Apple MusicとiTunes Matchの両方で50,000曲までアップロード出来るわけではないので注意。あくまでも最大25,000曲である。
iCloud ミュージックライブラリを有効にするには:
- iOS(設定>ミュージック>iCloud ミュージックライブラリ)
- Mac(iTunes>環境設定>iCloudミュージックライブラリ)
- Windows(iTunes>編集>設定>iCloudミュージックライブラリ)
Apple Music
Apple Musicは3,000万曲を超える数のApple Music内のカタログにある音楽を個人の場合は980円、ファミリーの場合は1480円の定額で聴き放題できるサービスである。さらに個人で使用できるiCloudミュージックライブラリを使用することができ、そのiCloudミュージックライブラリに最大2,5000曲までアップロードすることができる。
つまりApple Musicの曲全体と、自分でアップロードしたiCloud内の音楽が聴き放題できるサービスということになる。
Apple Musicを利用するには、個人またはファミリーのメンバーシップの登録が必要となり、メンバーシップの特典として、iCloud ミュージックライブラリがある。iCloudミュージックライブラリを使用して、すべてのデバイスから自分のミュージックライブラリ全体を楽しむことができる。
比較照合
Apple Musicには比較照合といって自分が持っている曲をApple Musicのカタログと比較する仕組みになっている。この比較照合があるおかげでiCloudミュージックライブラリの使用を節約してくれるわけだ。
もし比較照合がなければ、iCloudミュージックライブラリに自分の曲を全てアップロードすることになるが、比較照合があるおかげで、自分が持っている曲がApple Musicにあれば、それはアップロードせず、Apple Musicから直接視聴できるということになる。
iTunes Match
iTunes Matchは自分が持っている音楽をiCloud上にアップロードし、他のデバイスからいつでも視聴できるようにできるサービスである。iTunes MatchはiTunes Store内にある曲とマッチ(一致)するかを比較し、マッチしなかったものはiCloud ミュージックライブラリに保存される。
iTunes Storeには4,300万曲あるため、ほとんどの曲がマッチすることになるので、Apple Musicと同じようにiCloudミュージックライブラリの使用を節約することが出来る。
Apple Musicとの違い
- Apple Musicは「Apple Musicの曲すべて+iCloudミュージックライブラリ(Apple Musicにマッチしなかったもの)」
- iTunes Matchは「iTunes Storeとマッチしたもの+iCloudミュージックライブラリ」つまり手持ちの曲のみ
となっている。またiTunes MatchはApple Musicと違い、年間で登録する必要があり、1年で3,980円となっている。
iCloud フォトストリーム (マイフォトストリーム)
マイフォトストリームは最近撮影したものがiCloud上にアップロードされるというもの。逆に言うと古いものは次々にiCloudからも削除されていってしまうということになる。iCloud上に保存されている期間中であれば、全てのデバイスに自動的に表示する。
iCloudにアップロードするが、iCloudストレージは使用しない。
有効にするには:
- iOS(設定>写真とカメラ>マイフォトストリーム)
- Mac(写真>環境設定>iCloud>自分のフォトストリーム)
- Windows(iCloud>写真)
マイフォトストリームをアルバム内に表示させるにはiCloudフォトライブラリを無効にする必要がある。
マイフォトストリームを有効にするには:
- iOS(設定> 写真とカメラ>マイフォトストリームにアップロード)
- Mac(写真>環境設定>iCloud>自分のフォトストリーム)
- Windows(iCloud>写真>自分のフォトストリーム)
保存できる期間や条件:
- 最新の1,000枚
- 30日間限定
具体的には以上の2つの条件で削除されていく。また、大量にアップロードすると制限がかかってしまうため注意が必要。以下はアップロード制限である。
- 1 時間ごとに自分のフォトストリームにアップロードできる枚数:1,000 枚
- 1 日ごとに自分のフォトストリームにアップロードできる枚数:10,000 枚
- 1 カ月ごとに自分のフォトストリームにアップロードできる枚数:25,000 枚
これらの制限を超えてしまった場合は一時的にアップロードが停止し、通知が来る仕組みになっている。制限が解消され次第自動的にアップロードが再開される。
まとめ
- iCloudのストレージを消費するのはiCloudバックアップ・iCloudドライブ・iCloudフォトライブラリの3つ。
- iCloudミュージックライブラリを消費するのはApple MusicとiTunes Matchの2つ。
- Apple Musicは大量の曲を聴き放題。iTunes Matchは自分が持っている曲だけ聴き放題。
- iCloudフォトライブラリはiCloudストレージを消費しない。
- マイフォトストリームは最近の30日または1,000枚だけを全てのデバイスで表示。
混乱しやすいのは特にフォトライブラリとマイフォトストリーム、そしてApple MusicとiTunes MatchとiCloud ミュージックライブラリだろうか。この辺りの違いが理解できれば迷うことはなくなる気がする。
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